銀行口座開設の難しさ

恐らく今の時代、大人であればほぼ全ての人が銀行口座を持っていると思います。

免許証やパスポートのような身分証明書を持って金融機関へ行けば、よほどのことがない限り、その金融機関で預金口座を開設することができます。もっとも地方銀行や信用金庫などであって、居住地と全く縁もゆかりもない金融機関だと断られる可能性はあります。

しかし、居住地近辺の金融機関であれば、数十分ほどの手続きでその日のうちに通帳が交付されるのが一般的ですよね。

ところがこれはあくまでも個人名義口座を開設する時に限った話であるということは意外と知られていないところだと思います。

今回、わたしが地方巡業を開催するにあたって、スポーツイベント興行を主な事業目的とした株式会社を設立しました。この会社はわたしと妻の2人で立ち上げた会社ですが、わたしと会社、妻と会社。これらの関係は全くの別人格として扱われます。

ですので、会社の名前でお金を管理しようとした場合には当然のことながら、会社名義での銀行口座を持つ必要が生じます。

法務局で法人登記が完了し、昔で言うところの会社の謄本(現在は、履歴事項全部証明書といいますね。便宜上、簡便なので以後は謄本で呼称を統一します)や印鑑証明を取って、口座を開設したい金融機関へ行けば簡単に銀行口座を開設できると思いますよね?

ところが今の時代、法人名義での銀行口座を持つことは至難の業です。この話、にわかには信じがたいですよね?

たしかに15年ぐらい前まででしたら、会社設立後すぐにどんな金融機関でも口座を開設することができました。メガバンクであろうと町の信用金庫であろうと、どこでも喜んで口座開設に応じてくれたものです。

しかし今は違います。ほとんどの金融機関で門前払いに近い扱いを受けることになります。
なぜなら以前と異なり、今の時代はオレオレ詐欺や振り込め詐欺が社会問題化して相当の時間が経過しており、そのような犯罪に法人名義口座が使われることが非常に多くなっているからなのです。

法人とは法律上で作り上げられた仮想人格です。ですから法人格を悪用して銀行口座を開設して、犯罪に利用されては困るということで、今ではほぼ全ての金融機関において、新たな法人名義での口座開設には消極的な姿勢をとっています。

この問題は、このブログをご覧いただいている読者の方で、いずれ独立起業したいとお考えの方は必ずといっていいほど直面します。

「わたしは退職した会社に長年勤続していた実績があるし、その会社からの給料振込みや公共料金の支払いなどで使っていた金融機関があるから、そこへ行けばすぐに法人名義での口座も作れるだろう」

このような甘い考えで独立起業後にそれまで個人的にメインバンクとして取引をしていた金融機関へ出向くと、恐ろしいほど残酷な現実に向き合わされることになります。

「会社をリストラされて収入が途絶えてしまって、犯罪に手を染めようとしているんじゃないですか?」

窓口の行員があからさまにこのようなことを口にすることはありませんが、基本的なスタンスはこれと大差ありません。

そして、「どうしても法人名義での口座を開設したいなら、せめて一度決算を済ませて法人税を納付した後に改めてお越し下さい」と言われることが多いのです。実際には「口座開設にあたって審査をしますので、審査の結果次第ではお断りさせていただく場合もございます」と、最初から拒絶前提の対応をしてくるところの方が多いかもしれません。

この「一度決算を・・・」という下り。ただの口実に過ぎないことは誰の目にも明らかだと思います。

規模の大小はあっても、ビジネスをしていく上で全ての売上を現金のみで支払ってもらうということは可能でしょうか? たしかに喫茶店や雑貨店のような小さな店で来店された方々のみを対象としたビジネスであればそれも可能かもしれません。

しかしどれほどビジネスがうまくいって売上の現金が手元に多く残ったとしても、そのまま現金を自分で管理していくことは簡単ではありません。やはり銀行口座でそのお金を管理したいと思うはずです。

このように考えると、銀行口座を持たずにビジネスをすることは現実的にはほぼ不可能と言えるわけで、ビジネスが出来ないのに最初の決算を迎えることはさらに難しく、結果として「一度決算を・・・」というセリフは単なるその場しのぎに過ぎないわけです。

わたしも会社設立後、個人的にメインバンクとしてお付き合いのあった信用金庫から法人名義での口座開設を断られてしまい、その後いろいろ駆けずり回り、会社設立から1ヶ月以上経過してようやく会社の口座を開設していただける信用金庫が見つかりました。

これでようやくわたしの会社もビジネスを本格的に進めていけることになりました。

ここで本題の相撲の地方巡業の話に戻ります。

わたしの会社では、年に数回数ヶ所で地方巡業を開催することになっています。相撲協会との契約は全てこの会社名義で締結することになります。

しかしそれぞれの巡業において協賛企業からの協賛金のお支払いやチケットの売上管理などを行うには、「**場所実行委員会」という団体をそれぞれ立ち上げて、その実行委員会名義でも銀行口座を開設した方が信用力が上がります。

特に協賛企業からすれば「仮称いろはにほへと株式会社」という得体の知れない会社に協賛金を支払うよりは、「**場所実行委員会」名義の口座に支払いたいと思うのが当然の流れです。

そうすると、また先程と同じ問題が発生することになるわけです。

会社と実行委員会は、実態は同じであっても、別人格と言わざるを得ません。となると別人格である以上、実行委員会名義で銀行口座を作る困難に改めて立ち向かっていかなくてはならないわけです。

街中の至るところで多くの金融機関が「独立起業を応援します!」という趣旨の告知ポスターを掲示していますが、これは金融機関の本音だとは到底思えません。国や行政が独立起業を推進するという姿勢であることに呼応している態度を国側に見せているだけであって、本気で独立起業を考えている人を応援するつもりは全くないと言っても言い過ぎではないでしょう。

開業資金の融資を受けることが出来る人は本当にいるのだろうか?と疑うどころか、そんな幸せな人はいないだろうと断言できるような実態が今の金融機関です。銀行口座を作りたくても断られてしまうことが多いのに、ようやく銀行口座を開設できたという人に金融機関が融資をしてくれるはずがありません。

かなりネガティブな話題になってしまいましたが、わたしも会社名義とは別に実行委員会名義での銀行口座が必要となりました。

そんな時に心強い味方となってくれたのが、前回のテーマである「コネや紹介」だったのです。

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