力士の巡業前夜の過ごし方~宿泊施設の手配

基本的に地方巡業では巡業開催地に前日に到着して、力士や協会関係者は会場付近の宿泊施設に泊まります。

一見当たり前のようなことですが、勧進元にとっては意外と難題となるのが宿泊施設の問題です。

今回は地方巡業には欠かすことの出来ない宿泊施設についての裏側をご紹介します。

宿泊施設がない!

大都市や有名な観光都市でしたら宿泊施設は豊富にあります。

それこそ今ではネット予約が主流となってきていますので、各社とも熾烈な価格競争を強いられている激戦区も多々あります。

しかし、そのようなところばかりではないというのが現実です。

そして、わたしが来年開催を予定しているところも、つい最近までは小さなホテルがわずかに1軒しかありませんでした。

幸いなことに数年前から市長さんがホテルの誘致活動をされていて、今夏新たに開業したホテルがありますが、それでもここだけでは足りません。

というのも、力士を含む協会関係者は約280名で、280名分の宿泊先を手配するとなると、1軒のホテルだけでは足りないのです。

さらなる問題

一般的によく知られているようなビジネスホテルの客室数は平均で100室前後です。

しかも、そのほとんどがシングルルームです。

相撲界のしきたりとして関取は所属している部屋で個室を与えられるというものがありますが、これは巡業先でも同様です。

関取が相部屋になるということはありません。

もっとも多くのホテルではシングルルームが大半を占めますので、関取が泊まる部屋についてはシングルルームで全く問題はないのですが、これだけでは関取の付け人の方々の部屋まで手が回らなくなります。

付け人の方々については相部屋でも良いということになっていますが、そもそもシングルルームがメインとなっているホテルではツインルームの数は限られています。

そして仮に利用客の同意があったとしても、シングルルームに大人2名が泊まることは各種法令で厳しく制限されています。

つまりツインルームが少ないと、付け人の方々にもシングルルームを手配することになるのですが、ここで最初の問題にまた直面します。

そもそも「部屋数が足りない」のです。

会場への移動時間問題

部屋数が足りないとなれば、当然近隣の施設にまで手を伸ばして部屋を確保する必要があるのですが、ただ部屋を確保すればいいというわけにはいきません。

宿泊施設から会場までの移動時間が車で概ね20分以内の圏内にないといけないのです。

かつては地方巡業で民泊が多く行われていた時期もありました。

今でもyoutubeで検索すれば貴乃花親方の現役時代、そう若貴ブームの頃に、一般の方の家に宿泊して歓迎されていたという動画を見ることが可能です。

しかし、時代は変わって今では基本的に民泊は協会から認められません。

つまり、なんとしてでも280名分の宿泊先を手配しないといけないのですが、前述した通り移動時間の問題があるわけです。

実際に宿泊施設から会場までの移動は勧進元がバスやタクシーを手配します。そして、三役以上にはタクシーの手配が要請されています。

勧進元が移動手段を確保するんだから、多少移動時間が掛かっても問題ないんじゃないかと思えるかもしれませんが、そういう問題だけでは済みません。

なぜなら今も昔も付け人の方々は本当に熱心に関取のことを考えて行動します。

そして、その一つとして支度部屋での場所の確保があります。そのため、あらかじめ良い場所を使えることが保障されている横綱や大関は別格として、その他の関取は支度部屋で自分の明け荷を置く場所を確保する必要があるのです。

そのため、付け人の方々は勧進元が手配するバスを利用するだけではなく、個人的にタクシーを手配して会場へ朝一番に駆けつけます。

もっとも勧進元は関係者への開場時間前に到着出来るようバスを手配しているのですが、それよりも先に到着して開場を待つ付け人の方達が多いのです。

そのため、移動時間についても一定の制限があるのです。

このような制限がないと、力士の方々の起床時間を前倒しすることになってしまい、余計な負担を掛けてしまうことにもなりますよね。

ですから、移動時間の制約は当然のことだと思いますし、だからこそ、限られた範囲内で宿泊先を手配しないといけないのです。

横綱・大関への待遇

このような諸問題をクリアした上で、それでいて横綱や大関といった角界を代表するような関取には少しでも良い部屋で会場への移動時間が短くて済むように手配したいと考えるのが勧進元です。

世界的に有名なホテルでしたら豪華なスイートルームがありますので、予算に余裕があればそのような部屋を横綱や大関のために手配することも可能でしょう。

しかし、実際には予算に余裕があるかどうかに関係なく、そもそもそのようなスイートルームがないという宿泊先が多いのが現実です。

そのため、通常でしたら6名前後で利用するような大きな部屋を横綱や大関のために手配しておくことになります。

実際には、手配した宿泊先での部屋割りは行事さんに考えていただくことになるのですが、このあたりの話題は次回に持ち越したいと思います。


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