地方巡業の契約書と勧進元の権利と責務 Part.2

前回の記事では、主に勧進元の権利と責務について触れました。

地方巡業を開催するにあたり、勧進元はいかなる権利を有し、どのような責務を負うのでしょうか? 実際に相撲協会と勧進元との間で交わされる契約書をもとに内実について触れてみたいと思います。

今回は巡業当日の来場者数が勧進元や相撲協会にどのような影響を与えるのかについてご紹介したいと思います。

地方巡業は売り興行

ごくまれに開催されている相撲協会主催による海外公演のようなものを除き、地方巡業は全て「売り興行」となっています。

この売り興行とはどういう意味なのでしょうか?

地方巡業というのは勧進元と相撲協会との間の契約によって開催されますが、この契約内容を端的にまとめると相撲協会が勧進元に対して特定の地方巡業の興行権を完全に売り払ってしまうというものです。そのために「売り興行」と呼ばれているのでしょう。

この契約内容によって相撲協会は土俵上での巡業を盛り上げることにのみ専念できることになります。その一方で勧進元には相撲協会に代わり、その巡業に付随するほぼ全ての損益が帰属することになります。

つまり利益が出ても損失が出ても、それは全て勧進元のものになるのです。

チケットの売上も協賛金も全て勧進元の手元に入りますし、そのことについて相撲協会からは一切何も言われません。

勧進元はなんでも出来るか?

このようにほぼ全ての権利義務を負うことになる勧進元ですが、その中で唯一関知できないものがあります。

それは開催当日に入り口で来場者の方々に配布されるその日の取組表です。

このような取組表が本場所や巡業の際にもらえます。

そして、この取組表には数多くの広告が掲載されていますが、この取組表に限っては勧進元が広告媒体として扱えないものなのです。

逆に言えば、これ以外のものはなんでも広告媒体として販売することが可能です。パンフレットや会場の外に建てられる幟などは自由に広告媒体として販売できますし、会場内外での飲食やお土産などの販売についても自由に扱えます。出店料や販売マージンを取ることも当然可能です。

最も重要なのはチケットの販売数

協賛企業からの協賛金は勧進元の収益に大きな影響力を持ちますが、やはり興行である以上、最も重要なのはチケットの販売数です。

協賛企業では多くの方々の目に止まることを期待して協賛します。ですから来場者数が少ないと広告としての価値はドンドン減少していきます。

そして当然のことながらチケットが売れないことには、勧進元の収入はありません。そのために宣伝活動を活発に行うことになるのですが、ここで相撲協会の力を借りることが出来るのです。

前回の記事で相撲協会の責務は大きく2つあると書きましたが、そのうちの1つが宣伝活動の協力で、この協力がかなりありがたいものなのです。

大手のマスコミへの通知はもちろんのこと、開催地での記者発表の際には担当の親方が駆け付けてくれて、少しでも多くのメディアに取り上げられるよう尽力してくれます。

他にもわたしの場合は、先発担当予定の親方から後援会の方々などに来てもらうとのことで個別にかなりの数のチケットを引き受けていただいています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

来場者数が少ない時は?

このようにチケット販売に多大な協力をいただいたにも関わらず、チケットの売上が伸びずに開催日を迎えてしまうことになった場合、どうなるのでしょうか?

ここまでこのブログをお読みいただいた方ならお分かりかと思いますが、どんなに来場者数が少ないと分かっていたとしても、契約書で定められている契約解除をしない限り、巡業はやってきます。会場にお客様の姿が全くなくても、土俵を初めとした会場の設営がしっかりとなされていれば巡業は開催されます。

なぜなら、「契約書に来場者数の多い少ないに関する条項はない」からです。

ですから、チケットが売れなくても勧進元は相撲協会に文句を言う権利はありませんし、逆に開催当日にお客様がいない会場を目のあたりにしたとしても相撲協会は勧進元に苦情を言うことは出来ません。

ただし土俵に上がる力士のモチベーションを考えるとお客様が多いことに越したことはありませんし、そもそも会場内がガラガラの状態で開催日を迎えることになってしまっては、勧進元は多額の負債を抱え込むことになるだけで、もはや生きた心地はしないでしょう。

そのような事態が起こらないよう、勧進元が販売努力をするのはもちろんのこと、相撲協会もチケットの販売に関して全面的なバックアップをしてくれているのです。

それでも来場者数が少なかった場合、全ての責任は勧進元が負うことになるのです。

ブログランキングに参加しています!
応援よろしくお願いいたします!
にほんブログ村 格闘技ブログ 相撲・大相撲へ
にほんブログ村